43 - 一泉堂

大正十年から代々印章店を営んできた私たちは、
当時から重宝されてきた水牛の角が持つ素材そのものの堅牢さや美しさを印章店として次の時代にどう伝えていくかを模索し続けてきました。

まずは大きな柱としてパソコンや機械に一切頼らない伝統製法で彫る印章を、見た目にもその価値を感じて頂けるよう私たちが創業した大正時代に街を照らしていたであろうガス灯の意匠をイメージして旋盤を用いて削り出し製作しています。
そして、角の状態から印章の素材に相応しい部位を裁断する際に出る本来であれば廃棄されてしまう端材に焦点をあて、装身具としてアップサイクルしています。
この装身具も大正時代にもたらされたアールデコに代表される意匠と日本に古くからある伝統の意匠を絶妙に折衷させ、どこか懐かしくも新しい時を問わない装身具を目指しています。

また、水牛の角を旋盤や削り出すにあたり、必ず角粉が出ます。
この角粉すらも廃棄することなく、漆喰と混ぜ合わせアート作品に転用させています。
これらの作品は四世代に渡り長らく商ってきた私たちの根底にある精神性や古来から広い池に一葉の緑を浮かべるような日本に根付く美意識を表しています。

Instagram:@issendo_est.1921